誰も知らないパリ 〜18区の記憶〜①

政治

いつも多くの人がパリを語りたがる。昔から有名人の移住先だったパリ。『パリのお洒落マダムがどーだこーだ』『パリジェンヌの素敵な生き方だの暮らしぶり』だのといった記事がそこかしこに踊る。自分的にはまた来たか「はい、はい」みたいな気分になる。

今やパリでメジャーなトップ5の男性名は『モハメッド』だ。まあ、サッカー選手達とか見たって分か
るだろう(笑)ざっくり言ってパリの3分の1くらいは移民系の有色人種なのだ。それなのに『パリの
マダム』云々では殆どの場合はこぞって『白人のブルジョアおばさん』みたいなのが出てくる。どんだけフィルターかけてんの(笑)殆ど『東カレ』世界港区女子だけの東京感やん!

というわけで、今回は日本人が知らない巴里の横顔を絡めて書いていく。
それもややノスタルジックに(笑)

パリへ

金曜の今日、少し早く仕事を切り上げてタリスでパリへ向かう。案の定、自分が予約していたタリスは突如運休になった。勿論、これに関して事前になんの案内もない。日本と違って、ブリュッセルからパリへ向かう高速列車が時間通り運行されることは稀だ。今更このだらしなさを呪ったところで仕方ないので、僕は一本前の電車に飛び乗った。迷わず空いている席を見つけて座る。暫くして運休のとばっちりを受けたタリス難民が通路を埋め尽くす。車掌らに愚痴っているがどうしようもない。彼らはなぜ次の列車が運休になっているか知らないのだから。そして、一本前の電車は30分以上遅れて僕がもともと予定していた列車と同じ到着時刻でパリに着く。

18区の思ひ出-デザイナー志望の美女

パリ共通路線カード(仏版suica)を取り出し、バスにて今回の宿が位置する18区を目指す。最近は18区や北側へ来ることはほぼなかったが、昔住んでいた頃は結構馴染み深い場所だった。かつて18区に住むインド人に日本語を教えていたことがある。カナダ系インド人だったが、日本語をどうしても覚えたいということだった。代わりに僕は彼女から英語を習うことになっていた。実際のところ、双方ともたいして語学は進歩せず雑談で終わった。

また、北駅近くのインド人街でカレーを食べることもあった。そのインド人とではなく、K子という友達とだった。彼女はその頃まだ駆け出しのファッションクリエーターで僕もまだ仕事を始めたばかりの貧乏ぐらしだった。外食と言ったら、インド人街でカレーを食べるくらいの余裕しかなかった。当時、この辺りで外食する日本人はほとんどおらず、今だっておそらくほとんどいないだろう。迷路のような狭い路地にはアフリカ人たちが頭に荷物を載せて往来し、その人流が生みだす風がエスニックな香辛料の独特の匂いを拡散させていた。

K子自身18区に住んでおり、仕事に追われている彼女にしてみても少ない時間でそれなりの気晴らしになったのだろう。カレーを食べるにはフットワークが軽かった。K子は上場有名企業幹部を父に持つ娘だが、自立心の強い子だった。彼女のワンルームアパートのすぐ近くには大きなセットが所狭しと並んだパテシネマの撮影スタジオがあり、なかなか印象的な場所でもあった。まだCGで特撮すべてを補える時代ではなかったのだ。彼女はこういう空間に創作力を掻き立てられるのだと言っていた。それは半分本当で半分は強がりだったろうと僕は思っている。彼女はこういう形でパリにやってくる同業者の多くと同じように見栄っ張りでもあり、おそらくそんなにまだ成功していなかったにかかわらず、当時の日本のトップ女優であった鈴木保奈美から発注を受けたというような話をしていた。ひょっとしたら、そういうこともあったのかもしれないが、パリで目立った成功を収めているわけでもなかった。

彼女自身はとびきりの美人というほどではなかったけれど、かなり可愛い方だった。特に色白で切れ長の目、パッツンと揃えられた艶のある黒髪などを見て「なかなかの秋田美人だよな」と誰かが言ったが、彼女は秋田出身ではなかった。僕的には『アイドル級座敷わらし』という表現が適当で、周りの友だちも概ねこの評に同意していた。実際に結構いたずらをしたり人をからかうのも好きだった。いつだったか、風の便りで日本で幸せに暮らしていると聞いた。ファッション業界では成功していないようだが…

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18区のユースで極左支持者と出会う

かなり脱線したが、18区となると、その頃の記憶はどうしてもK子に結びついてしまうのだが、そ
んな回想を交えながら黒人街を彷徨うように歩いていると突然、巨大な最新木造建築が目に入った。屋上にはソーラーパネルが敷き詰められている。今回の宿Auberge de Jeunesse Hi Paris Yves Robertだ。こんなところに300人以上を収容できる宿泊施設が作られているとは…パリは常に動いている。それを実感させられた。

周囲の散策を終えて宿にもどり、カウンターで赤ワインを飲むことにした。多分、感傷的になっているのだろう。不意に、「君は日本人か」とマーク・ラファロに声をかけられた。いや、マーク・ラファロにとても良く似た英仏のハーフの男だった。「そうだが…」僕が答えると、「普通に仏語を話せる日本人がここに来るとは」。多分、僕が伊勢丹とアディダスがコラボして作ったシャツやジャケットというやや堅苦しい格好でいたせいだろう。職場から直行した格好のままなのだが、ここでジャケット着ているような野暮なのは僕だけだった。「僕は今ブリュッセルに住んでいるから」。「僕はジョンだ。日本には一回行ってみたいよ。コロナ前から一番行きたかった場所だ。」サービストークだろうが、最近の旅行先として日本は特に人気がある。僕は名乗ったあと、「ところで、日本に行くなら今だろうな。日本円に対してユーロが強い」と自国を宣伝しておく。とはいえ、マーク・ラファロ改めジョンもポロシャツに小綺麗なチノパンであり、この建物の外にいるアフリカ人たちとは一線を画していた。

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暫くすると、彼らの仲間と思しき集団が現れ、中庭側のテラスで集まって飲むことになっているようだった。「君も来ないか?」僕は着いたばかりで今日は特に用事はない。最近、フランス人と話す機会もないので合流も良いかもしれない。中庭側へ移動した。

時間が経つにつれ彼の仲間はどんどん増えていった。聞くと極左党首のジャンーリュック・メランションの支援グループで、フランス全土から68人が研修としてここに集ったのだという。たしかにここには大規模の会議やセミナー用の場所もあるようだ。メンツは20代後半から40代前半くらいまでと割と年齢の幅も広い。そして、本当にフランスの東西南北の全土から来ていた。

僕は早速最近フランスで起きている『62歳→64歳への年金受給開始変更』に対する大規模デモに関する見解を聞いてみた。欧州も日本と同じように、ほとんどの国が『65歳→67歳』を想定するのが普通となりつつあるこの時世に、フランスだけが64歳に変更されるのを拒んで、反対派が連日暴動を展開していたからだ。

彼らはとにかくマクロンが嫌いなようだった。彼らの中には医者という経歴の者もいたが「フランセ・モワイヤン(普通のフランス人)」を標榜している人達だ。LVMH総裁のベルナール・アルノーも徹底的に否定。まあ、分からなくもないが、富豪がアートにお金を落としている側面もある。勿論税金対策でもあるけれど。ピケティは彼らから支持されている。

彼らの主張は「フランスが他の国に先んじて行動すべきだ」というスタンスだった。今まで一定年数働けば楽しい年金ぐらしが待っていたはずなのに、急にゴールポストを移動するのはどうなのか?ということだった。実は僕もこの主張には少々賛成だ。特に彼らの主張では40年働いたらもう充分じゃない
か!というものだった。確かに、若くから働き始めた人で身を粉にして働いていたならばそうだろうと思う。

ただ、ストライキで街中をゴミだらけにしたり、破壊行為を行ったりというやり方には僕は反対だ。また、生産性を上げ続けて人間らしい暮らしが失われていくという話にはある程度理解を示したいが、だからといって石器時代に戻るのにも、給料として受け取る対価分を勝手に最低限のパフォーマンスに線引するようなやり方にも賛同できない。いずれも自分の主張の正当化のために他者に迷惑をかけるからだ。まあ、しかし色々な人の考え方を知っておくことは大事だなと思う。フランス人と議論の機会を持つことは本質への気づきを与えることが多いのでとても勉強になる。僕自身は左派が否定するグローバル経済を指示する立場でもあるが、彼らの考え方も分かる部分はある。

初日から結構飲んだ(笑)。メランションの支持層にはアルジェリアやモロッコなどの移民層もいるのには少し驚いたが、党首自身がモロッコで育っていたのだった。色々と勉強になる、よね。

つづく…

ボンヌママン 【チョコクッキー】
ボンヌママンはフランス屈指の名門中の名門である。ただし、チョコメーカーではなくて、瓶詰めジャムのメーカーとしてだ。日本でもそこそこ有名だろう。とはいえ、あくまでもスーパーで売られている「そこそこ美味しいジャムと云うポジション」だ。なので、そこが出しているチョコクッキーとなると「スーパーで売られているベルギー王室御用達チョコ群」あたりがライバルになる。
で、うまいのかまずいのか。
うまい。
特にこやつは「ちょうどいい」感がある。
たぶん「パリのマダムが云々」言ってるような、パリに住んでる『日本人代表セレ奉行』みたいな人は「スーパーに並ぶお菓子よねー」とか言うだろうなあ。
まあ、世の中セレブばっかりで成り立ってないから。僕はとりあえず、これで十分幸せです

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