いつも多くの人がパリを語りたがる。
昔から有名人の移住先だったパリ。『パリのお洒落マダムがどーだこーだ』『パリジェンヌの素敵な生き方だの暮らしぶり』だのといった記事がそこかしこに踊る。自分的にはまた来たか「はい、はい」みたいな気分になる。
今やパリでメジャーなトップ5の男性名は『モハメッド』だ。まあ、サッカー選手達とか見たって分かるだろう(笑)ざっくり言ってパリの3分の1くらいは移民系の有色人種なのだ。それなのに『パリのマダム』云々では殆どの場合『白人のブルジョアおばさん』みたいなのが出てくる。どんだけフィルターかけてんの(笑)
殆ど『東カレ』世界の港区女子だけの東京感やん!
というわけで、今回も日本人が知らない巴里の横顔を絡めて書いていく。
早朝、モンマルトルの丘
次の日は朝ランから始めた。モンマルトルの丘を駆け上がる。モルゲンロートに染まるサクレクールはきれいだ。
ここへは昔両親と来たこともあるし、それ以外にも色々思い出はある。しかし、早朝に来たことはなかった。むしろ、どちらかというと真夜中くらいが多かった。
それからBCにもどってシャワーを浴びてから髪を切りに行った。ブリュッセルだと気軽に男性が寄れる日系美容室がないのでパリで切っておくのが正解だと思っている。ナイス!
4区の図書館
その後図書館へ。今回はソルボンヌ大方面ではなくて、4区のパヴェ通り4番地。誰でも行けるとこ。お勉強テーマはパリ市内の劇場で使用された舞台衣装。日本では特別許可証が要りそうな年代物も簡単に閲覧できる。しばらくの間、真面目にお勉強した。その後自販機でillyのカフェを飲む。100円くらいで飲めて結構ラッキーな気分。課題を終えて帰る頃、僕の動向に気づいた人から突如声をかけられ、今夜是非ともイブサンローラン美術館に行くようとのアドバイスを受ける。
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突然こういう感じで告げられるのってほとんどテレパシーみたいな感じだ。今夜のみ特別に夜間の間は無料で開かれているとか。
僕はパリで行動している時によくこの手の展開になる。礼を言って図書館を後にする。
その後マレ地区を散策。またもや、かつての記憶が蘇る。
あの頃はコロニアル風のカフェで朝食みたいなのりでこの辺を知り合いと歩くことが多かった。知人との外食はせいぜいカレーとか朝飯どまりか。
そんな事を考えて歩いていると路地裏に隠れた公園を見つけ出す。
かつてパリに住んでた頃には見つけだす事ができなかった場所がいくつも出てくる。あの頃の僕には隠れた空間を見つけ出すような心の余裕がなかった。経済的にも時間的にもたいして余裕がなかったせいだろう。いろいろと生き急いでいたのだな、と本当に思う。言うても、今もそんなに余裕綽々でもないか笑
ノーマン・フォスターの特別展
ポンピドゥーセンターに寄る。ノーマン・フォスターの特別展をやっているのに興味を持っていたのだ。最近持ってる仕事の中には設計事務所の人達と設備図面を見ながら話さないといけないようなものもある。それからノーマン・フォスターの設計したロンドンの『メリー・アクス(通称ピクルス?)』を2年前に見てから興味を持っていた。
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他にもサンモリッツで見かけた円盤みたいなマンション『チェーザフューチュラハウジング』も覚えている。
自分一人なのもあり、念入りに心ゆくまで素晴らしい建築の世界を堪能した。
イブサンローラン美術館
イブサンローラン美術館に夕刻着く。
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アジア系女子が結構な数いたが、並んでいる列で電子タバコの煙の方向を気にしないなどマナーが悪い人が一定数いた。かつて日本にに勢いがあった頃も欧州で遭遇した農協のオバチャンたちの振る舞いには閉口したものだが、その辺りは新興国出身でいる間はどうにもならないのかもしれない。
イブサンローランも舞台衣装を手掛けることでブレークした時期があった。図書館での話が腑に落ちた。クリスチャン・ディオールの後塵を拝するイメージはあったが、早熟な人でもあった。実際にオートクチュールと舞台衣装の世界は意外と似通っているような気もする。
今日はいろいろと創作的インスピレーションを得ている気がする。
ビストロ・ルネッサンス
さて、この日は結構な活動量だったのでBCからそう遠くないビストロ・ラ・ルネッサンスへ。BCからそう遠くなくて、安全で気軽な場所はここ以外に思いつかなかったのだ。昔風パリジェンヌ化粧のセルヴーズ。声も特徴的。パテシネマの時代が戻ってきたかのような錯覚に陥る。頼んだのはアンドゥイエットにガメイをグラスワインで。こんな感じで充分だ。18区に高級レストランはないのだから。デザートにはマンゴーソースのパンナコッタ。今のこのインフレ高でも5000円くらいに収まった。
2万7千歩分の冒険。
こころにも懐にもかつてより少し余裕がある。
だが、こんな感じでいい。
背伸びする必要はもうない。
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